SandBase Harness とは?AIエージェントをローカルで安全に動かすオープンソースランタイム徹底解説
AIエージェントを本番運用しようとすると、「コードをどこで動かすか」「認証情報をどう管理するか」「何が起きたか追跡できるか」という壁に当たります。SandBase Harnessはこれらをすべてローカルインフラで解決する、オープンソースのAIエージェントランタイムです(GitHubスター数:639、2026年8月時点)。
セッション管理・サンドボックス実行・MCPツール統合・認証情報ヴォールト・監査ログ・リプレイ機能を一体化して提供します。OpenAI・Anthropic・MiniMax・DeepSeek V4・OpenAI互換モデルが動作します。
SandBase Harnessとは?概要と特徴
SandBase Harnessは、AIエージェントの実行環境をローカルファーストで構築するTypeScript製のオープンソースランタイムです。
「エージェントが生成したコードを安全に実行したい」「長時間動作するエージェントを監視したい」「ツールアクセスを制御したい」というニーズを1つのランタイムで満たします。
git clone --branch v0.3.8 --depth 1 https://github.com/sandbaseai/sandbase-harness.git
cd sandbase-harness
npm ci
npm run build
mkdir ../my-agents && cd ../my-agents
node ../sandbase-harness/dist/index.js init
node ../sandbase-harness/dist/index.js start
# http://127.0.0.1:3000/dashboard をブラウザで開く
起動後はブラウザのダッシュボードでエージェントセッションを管理できます。
SandBase Harnessの主な機能
サンドボックス実行環境
エージェントが生成したコードをローカル・Docker・Kubernetes・セルフホストワーカーのいずれかで隔離実行できます。
| 実行環境 | 特徴 |
|---|---|
| ローカル | 最小設定で即動作 |
| Docker | コンテナ隔離 |
| Kubernetes | スケーラブルな本番対応 |
| セルフホストワーカー | カスタム実行環境 |
MCP(Model Context Protocol)ツール統合
Official MCP Registryに登録済みです。88以上のインストール可能なエージェントスキルが提供されており、semantix install --target sandbase-harness のような形式でエージェントスキルを追加できます。
MCPツールセット・認証情報ヴォールト・パーミッションポリシー・承認フローを組み合わせて、エージェントのツールアクセスを細かく制御できます。
セッション管理・監査・リプレイ
長時間動作するエージェントの状態を永続化し、イベントストリームをリプレイで再現できます。セッションごとのトークン使用量集計も保持されます(v0.3.8で実装)。
# ダッシュボードで確認できる情報
# - セッション一覧・状態
# - ツール呼び出しログ(確認済み/拒否済み)
# - 監査証跡
# - トークン使用量集計
認証情報管理
APIキーなどの認証情報はローカルの認証情報ヴォールトで管理されます。エージェントコードに直書きする必要がなく、パーミッションポリシーで用途を制限できます。
LangGraph・CrewAI・AutoGenとの違い・なぜ今このツールか
AIエージェントのオーケストレーションフレームワークとしてLangGraph・CrewAI・AutoGenが知られています。SandBase Harnessはこれらと「レイヤー」が異なります。
**フレームワーク(LangGraph/CrewAI)**は「エージェントをどう設計・連携させるか」のロジックを提供します。一方、SandBase Harnessはランタイムとして「エージェントをどこでどのように実行・監視・制御するか」を担います。既存のエージェントコードと組み合わせて使えます。
| 比較軸 | LangGraph / CrewAI | SandBase Harness |
|---|---|---|
| 役割 | エージェント設計・制御ロジック | エージェント実行・監視インフラ |
| コード生成実行 | フレームワーク依存 | サンドボックス隔離で実行 |
| ローカルファースト | 部分的 | 設計原則 |
| 監査ログ | 別途実装が必要 | 組み込み |
| MCPツール連携 | プラグイン | ネイティブ対応 |
2026年はAIエージェントが「実験」から「本番運用」へ移行する年であり、実行環境の制御・可観測性・セキュリティへの要求が急増しています。SandBase Harnessはその需要に応えるローカルファーストなランタイムとして注目されています。
こんな人に向いている
AIエージェント開発者・プロダクトエンジニア
AIエージェントを本番に持ち込もうとしているプロダクトエンジニアに最も向いています。コード生成エージェントを安全なサンドボックスで実行し、何が実行されたかの監査ログを保持することが、商用サービスの信頼性につながります。
具体的な活用例:
- コードレビューエージェントが生成したコードをDockerサンドボックスで実行し、テスト結果を確認してから本番に送る
- 複数のAIモデル(Claude・GPT・DeepSeekなど)を切り替えながら同一タスクを実行し、セッションごとのトークン費用を比較する
MLエンジニア・LLMOpsエンジニア
LLMOpsを担当するMLエンジニアにとって、セッションのリプレイとトークン使用量集計は必須です。特定のエージェント実行を再現してバグを追跡したり、モデル変更前後のコスト影響を定量化できます。
セキュリティ要件が厳しいエンタープライズ開発チーム
クラウドにAPIキーを預けられない、コードの実行先を完全に自社管理したいというエンタープライズ開発チームに向いています。ローカルSQLiteとファイルストレージで動作するため、外部コントロールプレーンへの依存がありません。
使う前に知っておきたいこと
開発ステータスと安定性
v0.3.8(2026年8月30日)時点で596のテストが通過しており、相対的に安定しています。TypeScriptチェック・ランタイムビルド・コンソールビルド・パッケージチェックがすべてパスしています。
ただし、AI SDKのメジャーバージョンアップが進行中です(依存関係Issueでai 4.x→7.x、@ai-sdk/openai 1.x→4.xなどが進んでいる)。依存関係の変化が大きいため、バージョンを固定して使うことを推奨します。
認証がない点に注意
ダッシュボード(ポート3000)には認証機能がありません。ローカル開発での使用が想定されており、外部から到達可能なサーバーにデプロイする場合は別途認証レイヤーが必要です。READMEの脅威モデルドキュメント(docs/threat-model.md)を確認してください。
Dockerサンドボックスを使う場合
コード実行のサンドボックスとしてDockerを使う場合は、Dockerが事前にインストールされている必要があります。Kubernetesサンドボックスも同様です。ローカル実行は依存なしで動作します。
ライセンスと商用利用
Apache License 2.0で公開されています。商用利用・改変・再配布が可能です。SandBase社が提供するホスティングサービス(sandbase.ai)とは独立したオープンソースプロジェクトです。
まとめ
SandBase Harnessは、AIエージェントの実行・監視・制御を自社インフラで完結させたいエンジニアに向けたローカルファーストのランタイムです。MCP対応・サンドボックス実行・監査ログ・セッションリプレイを組み込み、OpenAI・Anthropic・DeepSeek V4など複数モデルに対応しています。
v0.3.8は596テストをパスしており、本番利用に近い安定性があります。AIエージェントを「とりあえず動かす」フェーズから「安全に管理して運用する」フェーズへ進める際の基盤として検討してみてください。
GitHub: sandbaseai/sandbase-harness
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