Pug(pug-sh)とは?自社ホスト可能なOSSプロダクトアナリティクスの完全ガイド
PugはGo製のオープンソース製品分析プラットフォームです。ClickHouseとPostgreSQLを基盤に、ファネル・リテンション・リアルタイムセッション分析を自社サーバーで無料で実現します。
GitHubで急上昇中の pug-sh/pug をご紹介します。 スター数 54★ を獲得し、DevTool分野で注目されているツールです。
Pug(pug-sh)とは?
Pug(pug-sh)はGo言語で構築されたオープンソースのプロダクトアナリティクスプラットフォームです。MixpanelやAmplitudeのような商用サービスと同等の機能——イベント計測、ユーザー特定、ファネル分析、リテンション、セグメンテーション——をPostgreSQL+ClickHouse上で自社ホストできます。月間数十万イベントを処理しながらコストをゼロに抑えたいスタートアップや、GDPRなどの規制でデータを外部に出せない企業に最適な選択肢です。2026年8月にv0.0.21をリリースしており、Bot検出・フィルタリングやAIダッシュボードアシスタント機能の追加など、活発な開発が続いています。
こんな人におすすめ:
- エンジニア向け: ClickHouseやPostgreSQLの運用経験があるバックエンドエンジニアやSREが、自社インフラ上にプロダクト分析基盤を構築する際に活用できます。
- 非エンジニア向け: プログラミング知識が必要なため、エンジニア専用ツールです
主な機能・特徴
- NATSパイプライン経由でイベントを高速取り込み、地理・ユーザーエージェント・Bot検出・Web帰属情報を自動付与
- ファネル・リテンション・トレンド・セグメンテーション・ユーザーフロー(Sankey)分析をダッシュボードで一元可視化
- リアルタイムLive Viewでアクティブユーザーを世界地図上にリアルタイム表示、個人・セッション・イベントまで掘り下げ可能
- GDPR/DPDP対応のデータ削除APIで、対象ユーザーのイベントとプロファイルを完全消去
- ClickHouseのロールアップ集計による高速クエリとダッシュボードの瞬時表示を実現
なぜ今Pugが注目されているのか——PostHogとの違い
プロダクトアナリティクスのOSS市場ではPostHogが先行していますが、Pugはいくつかの重要な差別化ポイントを持ちます。
PostHogはPythonベースで機能が豊富な反面、セルフホスト環境では重厚なスタックが必要です。一方PugはGo単一バイナリで動作し、PostgreSQL・ClickHouse・NATSの3コンポーネントだけでフル機能を実現します。「必要なことだけを、シンプルに」という設計思想が、インフラを軽量に保ちたいスタートアップエンジニアに響いています。
さらに、2026年8月末にリリースされたv0.0.21では、クローラーやBotをプロファイルやアクティビティフィードから自動除外する機能が追加され、アナリティクスの精度が大幅に向上しました。
使い方・始め方
インストール(ローカル開発環境)
# バイナリのビルド
make build
# 開発インフラ起動(PostgreSQL・NATS・ClickHouse)
make infra
# マイグレーション実行
./bin/pug postgres migrate
./bin/pug nats migrate
./bin/pug clickhouse migrate
# デモデータの投入(約50万イベント)
./bin/pug seed
# 開発サーバー起動
./bin/pug dev
Dockerを使う場合はDockerfileが同梱されており、docker compose upで即起動できます。環境変数は.env.exampleに全項目がドキュメント化されています。
SDKの組み込み
import { init } from '@pug-sh/browser';
// プロジェクトIDとAPIキーで初期化
init({ projectId: 'YOUR_PROJECT_ID', apiKey: 'YOUR_API_KEY' });
// ユーザーログイン時に identify を呼ぶ(匿名履歴がマージされる)
identify('user-123', { email: '[email protected]', plan: 'pro' });
活用事例
SaaS企業でのKPIダッシュボード構築
Webアプリを運営するスタートアップのプロダクトエンジニアが、Mixpanelの月額費用(年間数十万円)を削減するため、AWSのEC2インスタンス上にPugをセルフホストするケースが増えています。ファネル分析でオンボーディングの離脱ポイントを特定し、週次のリテンション分析でチャーンリスクを早期検知するワークフローを1週間で構築できます。
医療・金融業界での規制対応分析基盤
個人情報保護規制が厳しい医療系スタートアップでは、外部サービスへのデータ送信が困難です。Pugを自社のプライベートVPC内で動かすことで、GDPR/HIPAAに準拠した環境でユーザー行動データを分析できます。特にデータ削除APIが充実しており、「忘れられる権利」への対応も技術的に容易です。
こんな人に向いている
バックエンドエンジニア・SRE: Go・PostgreSQL・ClickHouseのスタックに慣れているなら、ソースコードを読んでカスタマイズしやすい設計です。インフラをコードで管理するチームに特に向いています。
プロダクトマネージャー(エンジニアチームと協業): 外部サービスへのデータ送信なしに、ユーザーのファネルやリテンションデータをリアルタイムで確認したいPMに最適です。
スタートアップの創業エンジニア: MixpanelやAmplitudeに月額数万円を払う前に、まずOSSで検証するというアプローチに向いています。スター数はまだ54ですが、活発なリリースサイクルが信頼性の指標です。
使う前に知っておきたいこと
ライセンス: GNU AGPL v3.0。SaaS形態で提供する場合はソースコード公開義務が生じます。商用利用前にライセンスの詳細確認を推奨します。CLAへの署名が必要なため、コントリビューションにも手続きが必要です。
インフラ要件: PostgreSQL・ClickHouse・NATSの3コンポーネントが必要です。本番運用では各サービスの運用知識とリソース(最低4GBのRAM推奨)が必要になります。
データ消去の注意点: ./bin/pug seedコマンドはデモデータ投入時にPostgresとClickHouseのテーブルを全削除します。既存の本番データに向けて誤って実行しないよう、環境変数の設定を必ず確認してください。
現在地: v0.0.21時点では正式リリース前のアルファ版です。APIやDB스키마の破壊的変更が今後発生する可能性があり、本番導入時はバージョン固定を推奨します。
関連ツール・おすすめサービス
- DigitalOcean — App Platformでコンテナデプロイ、Managed DBでPostgreSQLも管理できる開発者向けクラウド
- さくらVPS — 国内ホスティングでPugをセルフホストするならコスト優位
まとめ
Pug(pug-sh)は、商用プロダクトアナリティクスツールのコストや外部データ送信に課題を感じているエンジニアチームにとって、注目に値するOSSです。Go製の軽量スタック・豊富な分析機能・GDPR対応のデータ削除APIという組み合わせは、自社ホストの選択肢として非常に魅力的です。まずはローカル環境でmake infra && ./bin/pug seedを実行し、デモダッシュボードを体験してみてください。
この技術を学ぶ
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