agterm とは?AI コーディングエージェントを同時管理できる macOS 専用ターミナル
複数の AI コーディングエージェントを並行稼働させていると、どのエージェントが作業中で、どれが入力待ちになっているか見失いがちです。agterm は、まさにそのような「エージェント時代の作業環境」を前提に設計された macOS 専用のターミナルアプリです。2026年9月現在もアクティブに開発が続いており(v0.29.1 リリース済み)、GitHubスター数は599を超えています。
本記事では、agterm の設計思想・インストール方法・agtermctl API の基本操作を解説します。
agterm macOS ターミナルの設計思想とモデル
agterm は「ワークスペース → セッション」という 2 層の階層構造を核とします。
- Window: macOS ウィンドウ単位。複数のワークスペースを保持。
- Workspace: プロジェクト単位の名前付きグループ(例: "work"、"personal")。
- Session: シェルが走る最小単位。名前・作業ディレクトリ・スクロールバックを保持。
- Overlay/Split: セッションの上に一時的なプログラムを重ねたり、左右・上下に分割したりできる。
この階層の全要素が ローカルソケット経由のコントロール API で操作可能なため、スクリプトやエージェント自身がレイアウトを構築・管理できます。これが agterm を単なるターミナルエミュレータと分けるポイントです。
エージェントステータス表示
各セッションのサイドバー行に、エージェントの状態(active / blocked / completed)がグリフで表示されます。Claude Code・Codex・Pi・OpenCode など主要なエージェントのステータスフックが同梱されており、Help ▸ Install Agent Status Hooks… からワンクリックでインストールできます。
エージェントスキルのインストール
agterm には「エージェントスキル」と呼ばれる仕組みがあります。Help ▸ Install Agent Skill… を実行すると、Claude Code や Codex が agtermctl の制御モデルを学習し、セッションのセットアップやウィンドウ管理を自力で実行できるようになります。
agterm のインストール方法(macOS)
Homebrew(推奨)
brew install --cask umputun/apps/agterm
Homebrew を使うと agtermctl コマンドも自動的にインストールされます。
DMG から直接インストール
- Releases ページから最新の
.dmgをダウンロード。 - 開いて
agterm.appを/Applicationsへドラッグ。 agtermctlは Help ▸ Install Command Line Tool… から PATH に追加。
動作要件: Apple Silicon (arm64) Mac、macOS 14(Sonoma)以降。Intel Mac には対応していません。
agtermctl API で AI エージェント ターミナルを複数管理する
agtermctl は実行中の agterm にコマンド 1 件ずつ送るツールです。スクリプトやエージェントから呼び出すことを想定しています。
ワークスペースとセッションを作成する
# ワークスペース作成
ws=$(agtermctl workspace new demo)
# セッション作成(選択せず、バックグラウンドで起動)
sid=$(agtermctl session new --workspace "$ws" --cwd "$PWD" --no-select)
セッションを水平分割して操作する
# 水平分割(上下)
agtermctl session split on --axis horizontal --target "$sid"
# コマンドをタイプする(シェルに送信)
agtermctl session type $'npm run dev\n' --target "$sid"
# 出力を読み取る(最新10行)
agtermctl session text --target "$sid" --lines 10
エージェントステータスの設定
# blocked 状態を表示(ユーザーの確認待ちを示す)
agtermctl session status blocked --target "$sid"
# 完了を表示
agtermctl session status completed --target "$sid"
インタラクティブな選択と質問
# ピッカーを開いてユーザーに選択させる
printf '%s\n' staging production | agtermctl pick --prompt "Deploy where?"
# ボタン付き確認ダイアログ
agtermctl ask "Deploy now?" --button yes=Deploy --button no="Not yet" --default no
モデルの全体ツリーを確認する
agtermctl tree --json
なぜ今このツールか――Ghostty・iTerm2 との違い
agterm が依存しているレンダリングエンジンは Ghostty の libghostty(MIT ライセンス)です。VT パース・レンダリング・シェル I/O を Ghostty が担い、ワークスペース管理・セッション永続化・制御チャネルは agterm 独自の実装です。
| 特徴 | agterm | Ghostty | iTerm2 | Warp |
|---|---|---|---|---|
| エージェントステータス表示 | ✅ | ❌ | ❌ | 独自 |
| スクリプト制御 API | ✅(agtermctl) | ❌ | AppleScript | ❌ |
| ワークスペース管理 | ✅ | ❌ | プロファイル | ❌ |
| macOS のみ | ✅ | ✅(1.0以前) | ✅ | ✅ |
| OSS + 無料 | ✅(MIT) | ✅(MIT) | 無料(クローズド) | 有料プラン |
Ghostty がターミナルエミュレーション全般の最良を目指すのに対して、agterm は「複数の AI コーディングエージェントを同時に監視・制御する」という用途に特化しています。汎用的な高機能ターミナルを求めるなら Ghostty、エージェント管理を中心に据えるなら agterm が適切です。
こんな人に向いている
AI 活用エンジニア(フルスタック・バックエンド)
Claude Code や Codex などのコーディングエージェントを複数タスクに割り当てて並行作業している開発者にとって、agterm は「どのエージェントが何をしているか」を一画面で把握する最短ルートです。例えば、フロントエンドのリファクタリングを担当するエージェントと、API のテスト修正を担当するエージェントを別セッションで動かし、agtermctl session status でそれぞれのステータスを確認するワークフローが実現します。
自動化スクリプト開発者・DevOps エンジニア
デプロイパイプラインや複雑なビルドスクリプトを agtermctl で制御し、各ステップの進捗をグリフで可視化することができます。ピッカーやダイアログを使えば、スクリプト内でユーザーの確認を受け取るインタラクティブな CLI フローも構築できます。
研究者・個人開発者
複数のモデルを並行評価したり、長時間稼働するスクリプトを複数ウィンドウで監視したりする場合、named workspace による整理は混乱を防ぎます。agtermctl zmx によるセッション永続化で、長期稼働タスクの再接続も容易です。
使う前に知っておきたいこと
プラットフォーム制限
現在の公式サポートは Apple Silicon (arm64) Mac + macOS 14(Sonoma)以降 のみです。Intel Mac、Linux、Windows には対応していません(ただし、コミュニティによる Linux ポートの agterm-linux は存在します)。
ライセンス
agterm 本体は MIT ライセンスのため、商用利用・改変・再配布が可能です。ただし、組み込まれている libghostty も MIT であり、それぞれのライセンス条文を確認することを推奨します。
Live Sessions モード
zmx(ライブセッション)モードは zsh を macOS のログインシェルとして使用している場合に限り利用可能です。また、ハードパワーオフや強制終了では clean-quit キャプチャが走らないため、セッションが失われる場合があります。
セッションスキルは1系統のみインストール
エージェントスキルは Help ▸ Install Agent Skill または claude plugin marketplace add のどちらか 一方のみ でインストールしてください。両方入れると、エージェントがどちらのスキルを参照するか未定義になります。
まとめ
agterm は「複数の AI コーディングエージェントを同時に動かしながら管理する」という現代の開発ワークフローに特化したターミナルです。Homebrew 1コマンドでインストールでき、agtermctl API によりスクリプトやエージェント自身がレイアウトを制御できます。Apple Silicon macOS 限定という制約はありますが、その制約の中で設計の簡潔さと機能の完結性を両立しています。
複数エージェント並行開発を試みたことがある macOS ユーザーは、まず Homebrew でインストールして試してみる価値があります。
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