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データ分析

Marble Skill Taxonomy:1590のマイクロトピックを前提条件グラフで繋いだ教育データセット

⭐ 3,235 stars GitHub →

「この単元を教える前に、子どもは何を理解している必要があるか?」—教育の世界で長年、経験と勘に頼ってきたこの問いに、データで答えようとしたのがMarble Skill Taxonomyです。

教育テクノロジー企業Marbleが公開したこのオープンデータは、GitHubで3,235スターを獲得(2026年7月現在)し、EdTech・AI・教育研究の3つのコミュニティで同時に注目を集めています。


Marble Skill Taxonomyとは?カリキュラムを「グラフ」として再定義するデータセット

Marble Skill Taxonomy(os-taxonomy)は、小学校段階で子どもが習得する学習内容を1590のマイクロトピック3221の前提条件エッジからなる有向非巡回グラフ(DAG)として整理したオープンデータです。

従来の教育標準規格(Common Core、NGSS、英国ナショナルカリキュラムなど)は「フラットなリスト」でした。たとえば「分数の加算を学ぶ」という標準規格があっても、そのために「分数の概念」「分母・分子の意味」「等価な分数」など何十もの前提知識が必要なことは明示されていませんでした。

Marble Skill Taxonomyはこの問題を解決します。各トピックが他のどのトピックに依存するかを明示的にグラフで表現し、「特定の概念に至るまでの学習パス」を自動的に計算できます。


データセットの構造:4種のJSONファイルとそのスキーマ

topics.json:学習トピックのノード定義

{
  "id": "mt_N8CpN1EJrP",
  "type": "CONCEPTUAL",
  "subject": "English",
  "domain": "Grammar & Punctuation",
  "name": "Building sentences",
  "description": "Understand that words combine to make sentences — a sentence expresses a complete thought…",
  "ageRangeStart": 4,
  "ageRangeEnd": 6,
  "centrality": 0.257,
  "evidence": [
    "Distinguish between complete sentences and fragments",
    "Compose a complete sentence with a subject and verb"
  ],
  "assessmentPrompt": "If {{name}} says something like 'The dog', can they tell you that's not a complete sentence…?",
  "standards": ["ccss-ela:L.K.1f", "uk-nc-2013:Eng.App2.Y1.Sent.1"]
}

各トピックには以下が含まれます:

  • id: 安定した識別子(mt_…形式)
  • type: 概念的 / 手順的 / 表象的 / 言語的 / メタ認知的の5種
  • ageRangeStart/End: 対象年齢範囲
  • evidence: 習熟度の評価基準(観察可能な行動として記述)
  • assessmentPrompt: 教師向け評価プロンプト({{name}}プレースホルダー含む)
  • standards: Common Core・NGSSなどの対応標準規格コード

dependencies.json:前提条件エッジの定義

{ 
  "topicId": "mt__00ZSLnB7p", 
  "prerequisiteId": "mt_VBl1T1sFCM", 
  "strength": "hard",
  "reason": "Must understand vibrations make sound before finding volume patterns" 
}
  • strength: "hard": この前提条件がないと理解不可能
  • strength: "soft": この前提条件があると理解が容易になる
  • reason: なぜ前提条件か、一行の説明文

教育データセット カリキュラムグラフ 使い方:JavaScript/Node.jsでの実装例

ランタイム依存なし—JSONを読み込むだけで即利用できます。

基本的な前提条件取得

import topics from './data/topics.json' with { type: 'json' };
import deps from './data/dependencies.json' with { type: 'json' };

// IDでトピックをインデックス化
const byId = new Map(topics.topics.map(t => [t.id, t]));

// 特定トピック(Building sentences)の前提条件を取得
const TARGET_ID = 'mt_N8CpN1EJrP';
const prereqs = deps.dependencies
  .filter(d => d.topicId === TARGET_ID)
  .map(d => byId.get(d.prerequisiteId).name);

console.log('Prerequisites:', prereqs);

年齢でフィルタリング

// 4〜6歳向けの英語トピックのみ取得
const earlyEnglish = topics.topics.filter(t => 
  t.subject === 'English' && t.ageRangeStart <= 6
);

データ整合性の検証

node scripts/validate.mjs

Common Core・NGSSとの違い・なぜ今このデータセットか

教育標準規格との本質的な違い

比較軸 Common Core / NGSS Marble Skill Taxonomy
構造 フラットなリスト 前提条件グラフ(DAG)
粒度 大きな単元 マイクロトピック(単一の学習アイデア)
関係性 暗黙的 明示的(エッジ + 理由文)
機械可読性 低い(PDF・人間向け文書) 高い(JSON・スキーマ付き)
ライセンス 制限あり ODbL(商用OK)

既存の教育標準規格は人間が読むための文書として設計されており、ソフトウェアで処理するには向いていませんでした。os-taxonomyはプログラム的に利用できる形式での初めての包括的な初等教育マップです。

なぜ今注目されているか

2026年現在、LLMを活用した教育アプリの開発が急増しています。学習推奨システム・パーソナライズドラーニング・AI家庭教師を構築する際、「どのトピックを教えるべきか」「何を前提として理解しているか」というデータが必要です。os-taxonomyはその需要に応える初のオープンソースソリューションです。


こんな人に向いている:職種別の活用シナリオ

EdTechエンジニア・フルスタック開発者

学習推奨エンジンの構築に最適です。dependencies.jsonをグラフデータベース(Neo4j、Apache AGE等)に読み込み、特定の学習目標に到達するまでの最短学習パスを計算するアルゴリズムを実装できます。

実装例:「分数の割り算」を習得するには何の概念から学べばよいかを自動的に計算し、個々の学習者の現在地に合わせたカリキュラムを生成します。

MLエンジニア・AIリサーチャー

LLM評価のベンチマーク構築やファインチューニングデータとして活用できます。各トピックのassessmentPromptは、子どもの理解度を評価するための自然言語質問として機能し、教育AIのevalデータセットを低コストで生成できます。

教育研究者・カリキュラムデザイナー

インタラクティブビジュアライゼーション(withmarble.com/curriculum)でカリキュラム全体の依存関係を3Dグラフとして探索できます。コードを書かずとも、各概念をクリックして「この概念を学ぶ前に何が必要か」「この概念を学ぶと何が開けるか」を視覚的に確認できます。


EdTech オープンデータ JSON 無料 商用:ライセンスの詳細

多層ライセンス構造

os-taxonomyは独自の多層ライセンス構造を採用しています:

レイヤー ライセンス 内容
データベース構造 ODbL 1.0 ID・エッジ・関係性
テキストコンテンツ CC BY-SA 4.0 説明文・証拠基準・評価プロンプト
カリキュラム標準規格 各規格の上流ライセンス Common Core等は独自ライセンス

重要:ODbLの「produced works」例外

ODbLはデータベースの「派生データベース」(タクソノミー自体を修正・拡張したもの)と「プロデュースドワーク」(このデータをアプリやモデルの中で使用して作ったプロダクト)を区別します。

  • プロダクトを構築してリリースする場合: プロダクト自体はオープンソース化不要
  • タクソノミー自体を修正・拡張して配布する場合: ODbL下でオープンに公開必須

使用前の必須帰属表示

Marble Skill Taxonomy (v1) · © Generative Spark, Inc. (Marble) · 
https://withmarble.com · licensed under ODbL 1.0 (database) and CC BY-SA 4.0 (content).

制限・注意事項

  • 英語・科学中心: 8科目のうち英語・理科・数学が約83%を占め、国語や社会は日本の指導要領とは異なる
  • 英語圏カリキュラム対応: NGSS・Common Core・英国ナショナルカリキュラムが基準。日本の学習指導要領への対応は未実装
  • v1: 現時点では初等教育(小学校段階)のみ。中学・高校段階のデータは非公開
  • 個人データなし: 実際の学習者データは意図的に含まれていない(プライバシー保護)
  • 埋め込みベクトルなし: セマンティック埋め込みは「再計算可能な派生データ」として除外(自分で生成必要)

まとめ:教育とAIが交差するデータセット

Marble Skill Taxonomyは、教育データを「グラフ」として扱う先進的なアプローチの初のオープン実装です。

  • EdTechプロダクト開発者: ODbLライセンスで商用プロダクトへの組み込みが可能
  • MLエンジニア: 教育AIの評価・訓練データとして低コストで利用可能
  • 教育研究者: カリキュラムの依存関係を定量的・可視的に分析できる初のオープンデータ

GitHubリポジトリ(withmarbleapp/os-taxonomy)からJSONデータをダウンロードして、今すぐ試せます。


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